<Talking With>


 天気の良い暖かな午後です。残念ながら晴天、と言う訳ではありませんが、薄曇りの白の間から見え隠れする空の蒼い色はとても気持が良いうえに、日の光が柔らかくて暖かいのです。そんな景色を窓から眺めていたら、勉強をする気も薄れてしまいます。
 執政家の長子、ボロミアはこっそり部屋から抜け出して庭の木陰でひなたぼっこをする事にしました。




「……ぇ」
 遠くから、人の呼ぶ声が聞こえてきました。
 聴き慣れた愛しい者の声です。

「…兄上」
 声に続いて軽い足音も聞こえてきました。ガサリ、と近くの茂みが音を立てたのに目をやれば、弟の姿が現れた所でした。ボロミアの姿を認めて近づいて来るその足取りには、少しの怒りが混じっているのか普段よりも荒々しい感じがしました。



「兄上、こちらにいらしたんですか」
「どうしたんだい?ファラミア。こんなに髪を乱してしまって…」
 少し息を乱している弟の髪を何事もないかのように撫でてやります。柔らかな髪の肌触りが気持良くて、ファラミアが息を整えているあいだ、ずっと撫でたままにしておきます。
「どうした、じゃ、ありません!兄上の姿が急に見えなくなってしまうから、探しに来たんです!」
 キッと目が鋭くなったかと思うと語尾を荒げて怒られてしまいました。
 息を整えたとはいっても走って来た為に紅潮している頬が更に赤くなります。ボロミアと目線を同じにする為にしゃがんでいるファラミアの膝の上の両拳が小さくギュッと握られるのが目の端に見えました。どうやら、本当に心配していたようです。
「ああ、心配をかけて悪かったね。窓から見えた空が余りにも気持良さそうだからつい、出て来てしまったのだよ」
「確かに、今日は暖かくて気持がいいです。…けれど、急に姿が見えなくなってしまっては心配するじゃありませんか」
「伝言を伝えて抜け出すのも変な話だろう?」
「それはそうですけど…。笑顔で悪かったと言われても、からかわれているようです」
 心配する様が可愛らしく思っていたら、頬が緩んでいました。慌てて口元を手で覆っても再びファラミアに軽く睨まれてしまいました。覆ってもしょうがない手はどけて、破顔しながらファラミアの肩を軽く叩き、座るように促しました。
 ファラミアもしゃがんでいるのも疲れていたのもあって、ボロミアの横に素直に腰をかけ大木に寄りかかりました。探しに来たと言っていましたが、連れて帰る気はではないようです。

「…久しぶりに」

「ん?」
「いえ、久しぶりに兄上と沢山話が出来るな、と思って部屋に行ったのです。そしたら、藻抜けの空で…。周りの者に聞いてみても知らないと言うし。どれだけ心配したと思っているんですか」
 昨日の晩、明日は沢山話せる、と喜んでいた弟のはにかんだ笑顔を覚えていたので、黙って小言を聞くしかありません。勉強が終わる辺りの時間を見て、部屋に来ると言っていたのに、その部屋をファラミアを待たずに抜け出したのですから。
 今日2度目になる謝罪の言葉と共にその頬に軽く接吻を贈ります。間近になった目線を合わせると弟の瞳の中に自分の姿を見る事が出来ました。
「ここでも話は出来るよ。私とファラミアがいれば、それで事足りるのだからね。天気は暖かいし、部屋の中で話すよりもきっと楽しいに違いないよ」
 パッと覗き込んだ瞳の中に嬉しそうな色を見る事が出来ました。それもすぐに何やら気づかう様な表情に変わりました。
「ですが、大丈夫でしょうか…?」
 ボロミアを気遣わしげに弟は見返してきます。私だけでは不安かい?と返すとそんな事はない、と大きく首を振ります。顔を寄せていたので、その髪がボロミアに当たりそうになる位に頭を振り否定しています。



「さぁ、何から話そうか」



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やっちゃったv 読み専だと思っていたLotRの話書いちゃったよ。
初なもんだから、当たり障りのない、ほのぼので。短く。若い頃のボロファラ風味で。
ファラミアが思いのほか健気な可愛い子ちゃんになってしまった…。
ある日の午後が薄曇りだけど、気持良かったので、そんな感じで。←どんな感じだよ!
つたない文章ですが、少しでも気に入って頂けたら嬉しいです。
こっそりと修正。段落の頭にスペースを。

暁月 巽 2004.6.3






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