恋愛小説工房

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- 連載 -

女と野獣
カテゴリ:連載   テーマ:その他   季節:なし

1

極上の女が手に入る。
なにしろ、オレに惚れてる。
理由なんか知らない。知る気もない。
ただ、オレに会いたくて、抱かれたくて、メシもノドを通らないらしい。

心が手に入ってる女ほど、いいモンはない。
こっちの言いなりだし、ちょっとのことで濡れるし、ヤりまくっても嬉しがるし。
会うまでの辛抱だ。
善人ぶって、ちょいワルっぽく振る舞って、女なんかいくらでもいるなんて豪語して、謎めいた言葉で翻弄して、会いたくて会いたくて気が狂うように仕向けていく。
一回ヤれりゃあ御の字だ。
ヤり捨てて、また次の女をあさればいい。

その意味では、女なんかいくらでもいる。
確かにその通りだ。ウソじゃない。
ただヤれりゃあいい。恋愛ごっこは、最高の快楽を手に入れるための手段にすぎない。
それで女が幸せだったような錯覚に陥れば、いい思い出になって、それでお互い様じゃねーか。

なのに、なんだ?
「風俗なんか行くの?」
行って悪いかよ。なんでお前なんかにそんなこと言われなきゃいけねーんだよ。
「ほかの女の子さわった手で、私にさわるの?」
会いもしねーで何言ってんだよ。
お前が俺のなんだってんだ。
たとえ会ったって、ヤり捨てるだけの女なんだ。
お前に俺のことをとやかく言われる筋なんかねーんだ。
だいたい、会いもしねーで。
そんなこと言うなら、今すぐここに来てヤらせろよ。

なんでお前にそんなこと言われなきゃいけねーんだ。
…そう思いながら、なんでこんなに…ムカつくんだ…?

2

縛りつけてムリヤリにでもヤるつもりだったお前に会って。
まるでイヤがらないお前が、俺に落ちてることを感じながら。
「好きなら…俺のこと満足させたいだろ…?」
そうやって麻薬のように神経を麻痺させて、本当の愛なんかどこにもないまま。
餓えと乾きを癒すためだけに、お前の体を貪り続ける。
一晩中。

甘い言葉を囁いて、感じさせて濡れさせるなんてのは、始めのうちだけだ。
耳たぶを舐めて視線で犯して手首を押え込んで軽い恐怖心とそれから脚を開かせて灯かりはつけたまま羞恥心をあおる言葉を並べ立ててお前の中にあるいやらしい感情をすべて引きずり出すように見せかけて本当は暗示にかけてる
どこまでもどこまでも愛とか恋とか甘い言葉にすりかえていてもつまらない
逃げられないところまで追い込んだらあとはもうボロボロになるまで犯しまくる

俺の腕の中で
俺に組み敷かれながら
身悶えて感じ続ける女がいることの恍惚感
ときどき真剣に本当に俺はこの女を愛してるのかもしれない、なんて思いがふと心をよぎって
でもそんなこと有り得るはずがない、と心に蓋をしてまた攻め続ける
罪悪感を感じたら負けだ
俺はただ罪を重ねたいだけなのだから

同じ女に二度会う気はない。
向こうが会いたがっても二度と応じない。ワナかもしれないからだ。ホイホイ会いにいったら警察が待ち構えてる可能性だってある。
犯罪なのか?
わからない。
ただ、気がついたらこうなっていた。
誰が俺を責められる?
すべての女を、女というものを怨むように仕向けたあいつの罪は、誰が裁くんだ?

3

「今度いつ会える…?」
いつものように適当なことを言って、それで終わるはずだった。
「また連絡するよ」
「ダメ、今決めて」
「じゃあ…」
適当なことを、さも考えてるフリをして、いつものように。
そんな俺にすがってくるお前。
アタマが痺れるような錯覚。
「…なに泣いてんだよ」
キスをしてやると、小さな声でお前が言った。
「離れたくない…」

それなら、ヤるだけだ。

背中にキスをしても、女は声をあげた。
胸を揉みながら、後ろから犯した。
女は首をまげて俺を見た。俺は女の顔を見ないようにした。それで、また背中にキスをした。背中を舐めながら、そのうち、女が俺を見ようとする余裕もなくなるまで攻めて、それから、いきなり抜いて、離れた。
「どうしてっ…」
「上…来いよ」
女はイヤがりもしないで、すぐにまたがってきた。俺をつかまえて、自分で自分の中に引き入れた。
女の、奥のほうまで俺が突き刺さる。
女の腰を取って、俺は言った。
「…自分で…動いてみな…?」
その言葉だけで女は反応した。締めつけられる。俺は女の胸を揉んで、乳首を指先で転がしながら、女が腰を振るのを感じていた。
「いっつも…こんなことしてんだろ…」
「ちがう…初めて…」
「…ウソつくなよ…うますぎるって…」
「ホントだもん…あっ」
やっぱり、女は組み敷くほうがいい。
俺は急に体勢を変えて、自分のペースで攻めて、果てた。

4

そしてそのまま連泊する。
二日、三日、…もう何日目なのか忘れた。
金を払い続ける女。宿泊費も、食事も、しかも買物に行くにも必ず俺を連れて。
眠ってるあいだに部屋を抜け出そうとしても、ベッドから起き上がろうとしただけで「どこ行くの?」と目を覚まして、しがみついてくる。
トイレだなんてごまかしても、服を着させてもらえないからそのまま部屋を出るわけにもいかない。
この女はおかしいのか?
もしかしたら、何かの病気なのか?
それで死ぬのが恐くて、俺を道連れにしようとしてるのか?
いいさ。それならそれで、俺も自業自得ってもんだ。
最後の女が、わりと好みだったってだけでも、俺には十分すぎる幸せじゃねーか。

メシ食って、ヤって、眠って。目が覚めて、またヤって。
俺はいい加減、ほかの女とヤりたくなってきた。
なんだかこの女はブキミだ。やっぱり早く離れたほうがいい。
「…ただヤりたいだけだ、て言ったら…どうする?」
少し毒を含んだ笑みを浮かべて。
けれど女は、変わらない笑顔で言った。
「…それでもいいの…」

いとおしさに似た感情。
身も心もすべて捧げきって、俺を癒そうとする女。
手放したくない、という思いが、かすかに胸をよぎる。
…錯覚だ。
これは何かのワナだ。
でも、裏に何があってもお互い様だ。
たとえ騙されてるんだとしても、これで殺されるんなら…生きてつらい思いを続けるより、ずっとマシだ。

そのとき、俺は少しだけ、女をいたわった。
少しだけ、優しくキスをした。
でも、それだけだった。
…それだけのはずだった。

5

「ダメ…感じすぎて…おかしくなっちゃう…」
「…もうとっくに…おかしーだろ…?」
おかしくなってるのは俺のほうだった。
何もかも忘れて、女を犯した。
女はますます濡れて、めちゃくちゃに感じて、潮まで吹いた。
俺は果てても果てても、女がそっと首筋や背中に指を触れてくると、またいきり立って、そんな俺を女はいくらでも受け入れた。
俺達はキスをした。何度も何度も舌をからめ合わせた。相手の舌をひっこ抜こうとしてるかのように吸いあって、それから俺は女の体のあらゆる部分を舐めた。キスマークをつけて、ときには噛みついた。女を自分のものにしたかった。女の熱く濡れている穴を埋めるだけじゃ足りなかった。女の口に指を入れると、女はイヤがりもせずに俺の指を吸った。俺は何も考えられなくなっていた。ぼんやりと女を見ると、女は優しく微笑んだ。本当に優しく、うっとりと、そして誘うような瞳で俺を見た。うるんだ瞳。吸い込まれるようにキスをして、また女の中に入った。
「ゆっくり…して…」
耳元で囁かれるままに、俺はゆっくりと腰を動かした。今までよりずっと、女の中の熱を感じた。指で何度もなぞった、内壁のひだの多さを想像して、それをなぞるように、ひっかくように、ゆっくりと何度も挿れては抜き、また挿れては抜いた。
そのうちガマンできなくなって、腰の動きは自然と速くなった。
「ゆっくり…できねーよ…」
「…いいよ…」
女は同じリズムで高まって、声をあげて全身で快感を示した。
俺はメチャクチャに女の胸を舐めたり吸ったりした。乳首も、乳房も、それから肩や腕や、首や、押え込んだ手首や、指先や、あちこち、思いつくままに舐めて、キスして、そのたびに女は甘い声をあげた。
ときどき、視線がからみあった。それだけで、全身が痺れた。
そしてお互い吸い寄せられるようにキスをした。
俺は女の胸を押しつぶすように体を押しつけて、女の肩や脇から背中に腕をまわして、抱き締めた。そしてまた離れて、胸や首や肩や腕や指や手首や、とにかくメチャクチャにキスをした。そしてまた抱き締めて、横に転がったり押し付けたり抱き締めたり舐めたり吸ったり、もう何をしてるのか、わけがわからなくなった。
それまで、俺は女を何度かイかせてから自分がイってたのに、そのときは一度目で一緒にイった。

6

おかしな気分だった。
不安が押し寄せていた。
何人もの女を食いモノにしておきながら、そんなふうに女に溺れたのは初めてだった。
いや、逆に食いモノにするには、そんなふうに溺れちゃいけないことぐらい、わかっていた。
なんでこんなことになったんだ…?
アタマの奥が痺れていた。体もおかしかった。胸に手を突っ込まれて、肺と心臓をギュっと握り潰されてるような感じがした。
「…だいじょうぶ?」
女が、心配そうに俺の顔をのぞきこんだ。
俺は女にすがりついた。
体が、勝手に震えた。
女は優しく俺のアタマをなでた。それだけで、呼吸が少し、ラクになった。
女の胸に顔をうずめて、俺はアタマをなでられ続けていた。
「…だいじょぶだよ」
女が、優しく言った。
体の奥がうずいた。
息苦しいのは消えていた。
俺は胸から離れて、女の顔を見ないで言った。
「…ヤらせてくれ」
「…いいよ…」
俺は女の顔を見た。
声と同じように、優しい笑顔だった。
「…よくない」
なぜか、俺はそんなことを口走っていた。
女の優しい笑顔が、少しおどけたような表情になった。
「…なんで…?」
俺は耐えられなくて女の乳首に吸いついた。
「あっ…ん…」
すぐに女が甘い声をあげる。俺は女に抱き付いて、悲鳴のように言った。
「ダメだ…感じたりしちゃ…」
「どうして…?」
アタマの奥が痺れている。
どうして、俺はこんなことを言ってるんだ…?
「俺は…ただヤりたいだけだ…」
女は、俺のアタマをなでながら、静かに言った。
「…知ってる…」

7

俺は驚いて女を見た。
「じゃあなんで…!」
俺は泣きそうだった。なんで泣くのか、わからなかった。
「あんたを好きなわけじゃないんだぞ? それでいいのかよ?!」
女の笑顔が、少しだけ寂しそうに変わった。
「…私も…抱いて欲しいだけだから…」
「なんだよそれ…?!」
アタマが痛い。
「…あんた…おかしーよ…」
「いいの…おかしくても……おかしくちゃ…イヤ…?」
「イヤも何も、好きじゃねーって言ってんだろ!!」
とうとう、俺は叫んだ。
体を離そうとした俺を、女は引き止めた。
抵抗できずに、俺はされるがままになっていた。
俺達は抱き合っていた。
優しく、柔らかく。
まるで恋人同士のように。
アタマが痛い。アタマが痺れてる。
「アタマいてぇ…」
「だいじょぶ…?」
女が心配そうに、俺のアタマを両手で包んだ。
額と額を、くっつけてくる。
女の顔が目の前にあった。俺は、女の唇にキスをした。女は、目を閉じてキスを受け入れた。
体の奥が熱くなる。
欲望は、止めようがない。
「…ヤりたいだけだ…」
「…だいじょぶ…んっ…」
俺の手は、すでに女の乳房を揉んでいた。
「…俺は…」
「あっ…ん…」
俺は女の乳首を舐めた。女の声が跳ね上がった。
俺は胸だけで女を3、4回イかせて、ぐちゃぐちゃに濡れた女の熱くて優しい部分に触れた。声を上げて、女は、俺のどうしようもない欲望の高まりを、そっと握った。
「きて…」
俺達は優しくキスを交わして、それから、つながった。

8

ゆっくりと。
今度こそ、ゆっくりと最後まで、まず女をイかせてから、と思うのに。
どうしても腰の動きが速くなっていく。
俺は引き抜いて、代わりに指を挿れようとした。
「イヤ…して…」
「…」
「ほしいの…」
魔法にかかったように、俺は女に言われるままに、もう一度、中に入った。
「あっ…ん…」
「…これがそんなに…いーのか…?」
「いい…の…んっ…あぁ…」
女の声をもっと聞きたくて、俺はイきそうになるのを必死でガマンした。
何度も何度も、速度をゆっくりに戻す。
ゆっくりでも、女は感じて、何度もイった。
そのたびに締めつけられて、俺もイきそうになった。
まだだ。まだ、もっと…していたい。
「あんたに…溺れる…」
「溺れて…ほしいの…あっ…」
甘い声に耐え切れなくて、俺はとうとうイってしまった。
…襲ってくる不安。
体が、震える。
「だいじょぶ…? まだ痛い…?」
「いや…」
アタマは、もう痛くなかった。
「よかった…」
女の笑顔を、俺はぼんやり見ていた。
また、息が苦しくなってきた。
女にしがみつく。
「…だいじょぶだよ…」
「…なんでだよ…なにがだよ…」
女が優しくアタマをなでてくれると、息苦しさは消えていった。
そして、女が…俺の知らない答えを、言った。
俺の呪いを解く言葉を。
優しく、優しく、そっと…つぶやくように。
「嫌わないから…」

9

一瞬、息をするのを、忘れた。
ゆっくりと、女の顔を見た。
優しい笑顔。
女は、優しい声で、くりかえした。
「…だいじょうぶ…嫌わないから…」
「…なんでだよ…」
答えのわかっていることを、俺は聞いた。
女の答えは、その笑顔にも、声にも、指先にも、あふれていた。
「だって…」
それでも、その言葉を聞きたかった。
「…好きだから…」
その言葉は、耳から溶け込んで、俺の頭の奥にある何かを、溶かしていった。
「でも…俺は…」
「いいの…」
「…よくねーよ…」
「いいの…だいじょうぶだから」
「よくねー…」
俺は泣いていた。涙が、勝手に流れていた。
「だいじょうぶ」
「なにがだいじょぶなんだよ…なんにもよくねーよ…」
まだ苦しんでいる俺に、女がまた、そっと囁いた。
それはたぶん、新しい呪いだった。
けれど俺は、その呪いが一生解けないことを祈った。
「きっと私のこと、好きになるから…」

俺の涙を、彼女が指ですくって、その指を舐めた。
その唇に、俺はキスをした。
彼女は、優しく受け入れた。
その頬に、そっと触れてみた。
彼女が、また俺の涙を指でぬぐった。
そして、彼女のほうから俺の唇に、キスをくれた。
唇をついばんで、それから、首にも、胸にも、腕にも、指にも、彼女がキスをしてくれた。
俺はされるがままになっていた。
そして、彼女の唇が、俺の腰にまで降りていった。
まだ縮んでいたのに、彼女の口の中で、またどうにもならないほど大きくなった。

10

どうしようもなく、恥ずかしかった。
まるで初めての少年が、年上の女に手ほどきされてるみたいだった。
それでいて、途方もなく攻撃的な気持ちだった。
彼女の口を出たり入ったりしているのを眼で確かめて、彼女の耳に触れて本当に彼女の顔がそこにあるのを手で確かめて、とにかく柔らかい舌遣いに酔った。
ときどき見上げてくる彼女の視線が、たまらなかった。うっとりとして、挑発的で、だんだん彼女も酔っていくのがわかった。
彼女の口から声が漏れた。
俺はたまらなくなって、彼女の頭を両手でつかまえた。そして、自分勝手に彼女の口に抜き差しした。
彼女の声はますます大きくなって、苦しいのか感じてるのか、よくわからなかった。それでも、彼女が俺の手を振り払わないのをいいことに、俺は彼女の口の中の柔らかさを犯し続けた。
「あっ…イク…!」
そう言っても、彼女は顔をあげなかった。髪をかきあげて、目を閉じ、俺にされるがままになっていた。むしろ、彼女のほうからしゃぶりついてきていた。俺はいつのまにか手を離して、また彼女にされるがままになっていた。
「…っ!」
彼女の口の中で、俺は初めて果てた。
人に抜かれるのは初めてだった。
自分が攻めるのと勝手が違い、妙に気が抜けたかんじで、ぼぅっとしてる俺の目の前に、彼女の顔が戻ってきた。
ぼんやり見てると、彼女の咽喉が、コクン、と鳴った。
それで正気に戻った。
「あ…」
「…ん?」
彼女は、なんでもないことのように、また優しく笑った。

「…なあ…」
「ん…?」
また何度も抱き合ったあと、胸に寄り添っている彼女の髪をなでながら、俺は聞いてみた。
「俺…お前のこと…ホントに好きになるかな…」
彼女が、俺の胸からそっと顔をあげた。
その瞳を、俺もゆっくりと見た。
彼女が、そっと微笑んだ。
「…うん」
俺も、そっと微笑み返した。

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この話はこれで終わりです。
読んでくれたあなたに、感謝。
連載期間:2004/02/25(Wed)〜05/07(Fri)

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