| 愛を語るより口付けを交わそう |
| 嫌味なくらいの満天の星空。 俺は考え事をしながら、星空に向かって睨みを放つ。完全な八つ当たりだな。 われながら情けなくなり、部屋に戻ろうかとベランダからくるりと部屋に戻ろうとした瞬間だった。 「・・・・さん・・・と・・・・」 うめき声だろうか・・・。小さな声だったが、隣から聞こえた。 隣の部屋はの部屋だ。 ミイスの村に生き残った神官の娘、そして俺の親友でもあるロイの妹。 冒険者になれ、と勧めたのは俺だ。何か可能性を秘めているように見えたのだ。 ・・・・そう、俺を凌ぐほどの、いや、誰もを凌ぐのではないか、という可能性。 俺らしくもないのだが、そう思った。 だから、一緒にいるのかもしれない。 隣の部屋をノックする。 返事はなかった。きっと寝言なのだろう。 そう思った俺は自分の部屋に戻ろうと背を向ける。 「いやぁぁぁぁぁ!!!」 叫び声。の声だ。 びくりと身体に悪寒が走る。 俺は無意識にドアのノブに手をかけて、部屋に入っていった。 かぎはかかっていなかった。 部屋に入ると、ベッドの上でかたかたと震えている少女が目に入る。 どうやら何事もなかったようだ。 ほっ、と胸をなでおろすと同時に、なんでこんなに心配するのか、と妙に自分に腹が立ってくる。 「おい、あまり驚かせるな。」 の肩に手を置いて、声をかける。 すると、は俺の顔を見て・・・・・・急に抱き付いてきたのだった・・・。 何が起こったのかわからなかった。 柔らかくて暖かいぬくもりが俺を刺激する。 「お、おい・・・」 引き剥がそうと、彼女の肩に手を置く。・・・・震えている。 そういえば、さっきの叫び声はなんだったのだろうか。 「どうした・・・。何があった・・。」 安心させるかのように、俺は優しくを抱きしめた。 俺らしくない。何をやっているのだろうと、心の中で葛藤はあったのだが、震えている少女を見て、そんな葛藤は吹き飛んだ。 明るくて元気な少女。 強く、どんな冒険にも立ち向かう少女。 そして、夢を見て、泣いている少女。 すべてが、なのだ。 やっぱり女なのだな。俺は腕の中で泣いている少女がふと離したくない衝動にかられる。 守らなければならない存在。 「セラ・・・・ごめん・・・」 俺の腕の中でがつぶやく。どうやら落ち着いてきたらしい。 「そう思うなら人の目を見て話すことだな。」 もぞもぞと恥ずかしそうに顔をあげる彼女。目が真っ赤に腫れている・・・。 心なしか顔も赤い。 「・・・なんか、セラ・・・優しいね。」 ・・・・どういう意味だ、。 確かにいつもの俺ではないことは自分でもわかっているつもりだが、あえて言われると妙に腹立たしい。 「今日は特別だ。もう2度とないと思え。」 腕をほどかせると、俺はの部屋を出て行こうと背をむける。 どん、と、背中になにかがぶつかった。 「やだ・・・。行かないで・・・。今日だけでいいから・・」 が俺の背中に抱きついている。 「お願い・・・・今日だけ・・・側にいて・・・?」 「夢を見たの・・・・。ロイ兄様が・・・いなくなる夢。」 俺はをベッドに横にさせると、その側に座り、髪をなでる。 今日だけでいい、というは今にも消えてしまいそうなくらい、弱々しかった。 俺は彼女の存在をここに認めるために、彼女の手を握る。 「そうか・・・・。それでうなされてたのか。」 「私を置いて、どこかに行ってしまうの。行かないでって・・・。行かないで・・って・・。」 再び泣き始める。 なぜだろう・・・。彼女が泣くと、妙につらい。 「大丈夫だ。俺はお前の側を離れん。だから・・・泣くな。」 涙をふいてやる。赤い目が妙に痛々しい。 「うん・・・。セラは嘘つかないもんね。」 にこっと笑う。俺はその笑顔が眩しく見えて、目を細める。 「もう、寝ろ。疲れを残すのはよくない。」 俺はおでこをぴん、と指ではじく。 「えへへ・・・・。」 「?。何を笑う?」 急に笑い出すを訝しげに見る。 「だって、セラ優しいんだもん。今日だけってもったいないな。いっそ、今日がずっと続けばいいのに。」 今度は俺が赤くなる番だった。 「もう、大丈夫そうだな。」 俺はそっとベッドを降りる。 「え〜。一緒に寝てくれないのぉ?」 完全にからかってる。こいつは・・・。 つかつかと俺はベッドに戻り、の上に覆い被さるように見下ろす。 からかわれてるのは嫌いだ。からかうのは好きだが。 「な、なに?」 「一緒に寝てもいいが・・・・寝せれる自信はないぞ・・・?」 の頬に手をそえる。そのとたん、びくりと身体がはねる。 「・・・あ、あはは・・一人で寝ます。」 「遠慮するな。」 そう言うと、俺は彼女の顔に自分の顔を近づけていく・・・・・。 そして、そっとキスを落とす。 触れるだけの優しいキス。 今日は優しくするという予定だしな。 「な・・・な・・・」 目をあけると、零れ落ちそうなほど目を見開く。顔は真っ赤だ。 「・・・っく・・・くっく・・あっはっは・・・・」 俺はそんな彼女を見たとたん、笑いがこみ上げる。 笑いが止まらない。 こんなに笑ったのは何年振りだろう。 「これに懲りたら俺をからかうのはやめることだな。今度はこんなんじゃ済まないぞ。」 「もう!!早く寝るの!!出て行けぇぇぇ!!」 まくらが飛んでくる。おれはそれをひょい、とよける。 「おやすみ、。」 「・・・・・ありがと・・・セラ・・・おやすみ」 驚いて俺は振り返る。 すでに彼女は頭まで毛布をかぶっている。俺はあえて聞かないふりをして、部屋を出て行く。 部屋に戻った俺は、ベッドに横になってみるものの、どうも眠れない。 まいった・・・。 目をつぶればの顔が浮かんでくる。 どうやら重症らしい。 こればっかりは気がつかないふりをするわけにもいかない。 俺は狙ったものははずさない。 地獄の底まで追いかける。 覚悟しておけ、。 覚悟も新たに、俺はベランダに出て、酒をあおる。どうせ寝れないのなら、酔いつぶれるまで。 あいつはもう、寝てるのだろうか・・・。 俺は隣の部屋に目をやる。 「おやすみ、。」 もう一度こっそりとつぶやく。 「おはよ・・・」 次の日、俺が見たのは、目を真っ赤に腫らし、目の下に黒いくまを作っているの姿だった。 どうやら、彼女も寝れなかったらしい。 「・・・なんだ、その顔は。モンスターと間違えられるぞ。」 「それって・・・女の子にいう台詞じゃないよ、セラ。」 むっとした顔を向ける。 「女の顔をしてれば俺も言わんがな。」 「セラだって、寝れなかったでしょう。目の下黒いよ。」 ぎくっ。 おかしいな、一応鏡を見て確認したはずなんだが・・・。 慌てて、顔を押さえると、笑い声が聞こえる。 「あははは。ひっかっかったぁ♪嘘だよ〜ん。やっぱりセラも寝れなかったんだ」 からからとそれはもう嬉しそうに笑う。 ・・・・やられた。 「そこまで元気なら、大丈夫だな。ほら、仕事探しに行くぞ。」 「え〜、もうちょっと寝ようよぉ。なんか今ごろ眠くなってきたもん。」 宿屋にまた入ろうとする。ったく、わがままなやつだ。 「あぁ、そうだな。人間の顔に戻ってもらわんと困る。」 戦闘中に倒れられても困るしな。心の中でそう付け加える。 が、口に出しては絶対に言わない。が心配でしょうがないとも。 「しつこい!!」 ぷんぷんと肩をいからせ、宿屋に入っていく。 どすどすと歩く足音がさらに俺の笑いを誘う。 今度は俺もゆっくり寝れそうだな。 自分にも睡魔が襲い始めてきたのに気がつく。 「おやすみ、。」 そして、それが合言葉かのように、俺はベッドに身をゆだねる。 次に顔を合わせたら、今度は何を話そう・・・。 そんなことを考えながら・・・・・。 FIN |
| うわははははは。 いかがでした?偽者セラ(笑) だめだ・・・変だ・・・。 セラファンごめんなさい!! 書いてる途中で鳥肌100%だった(笑) |