| YOU & I 〜Esta' perdidamente enamorado de ella〜 |
| お前といる時の俺が嫌いで・・・ お前といる時の俺が嫌いじゃなくて・・・ いつものように来客を適当にあしらい、レムオンは安らぎのティータイムを楽しんでいた。 「あ、兄さん、ここにいたんだ」 ひょっこりとテラスに現れたのは弟のエスト。考古学の勉強をしている彼はめったに家に現れない。 「エストか。どうした、今日は。」 「たまには家に帰ってこないとね。僕の存在を忘れられても困るし。」 わらいながら、兄の隣のイスに腰掛ける。執事のセバスチャンが紅茶を持ってくるタイミングは絶妙といえた。 「ありがと、セバスチャン。今日は・・・僕だけのようだね、この静けさからいくと。は最近帰ってきてる?」 久しく帰ってこない妹の名前を聞き、レムオンは形のいい眉をひそめる。 「あれか・・・たしかに最近見ないが・・まぁ、元気にやっているだろう。あいつが死んだらそれこそ大ニュースになりかねん」 今や冒険者のカリスマ的存在となっている『竜殺し』のの噂は嫌でもレムオンの耳に入ってくる。 まぁ、たまに会いにいく幼馴染の姫君もどうやらのファン(笑)らしい。 頬を染めながらの話しをするティアナの姿を見て、レムオンは眩暈を覚えたのは記憶に新しい。 「あいつがいないと安らげるから不思議なものだ。」 その安らげるという本当の意味にレムオンは気づいているのだろうか、とエストはそっと思う。 エストにも見せなかった兄の表情を、あの妹にはあっさりと見せる。 怒り・喜び・驚愕・慌てることすべて、にむけていることに兄は気づいているのだろうか。 (気づくわけないか・・・) 思わずエストは笑いそうになり我慢する。 「でも、<夢幻の湖>でこの間会ったから、そろそろ来ると思うよ。今日僕が来ること知ってるから」 「お前も余計なことをするな・・・」 はぁ、とレムオンはため息をつく。鬱陶しいことこのうえない、という表情。 エストはそんな兄の表情を新鮮に楽しんでしまう。 なにせ、このレムオンはエストの前でも仮面のような表情が多かったのだから。 エストの予言(?)は見事的中し、1時間もしないうちに、噂の妹はやってきた。 そして、ますますレムオンの顔は苦虫をつぶしたような顔になる。 「ただいまぁ!」 館中に聞こえるのではないかというくらいの大きな声が玄関から聞こえる。 不思議なもので、彼女の声が聞こえたとたん、館中がぱぁっと花が咲いたかのような雰囲気になるとレムオンはこっそりと思う。 そして、自分の顔にも自然と笑みが浮かびそうになるのを我慢する。だから、ますます顔が強張るのだ。 なぜ我慢するのか・・自分でもわからないまま、その表情でを迎えるのであった。 セバスチャンとの話し声が廊下から居間へと近づいてくるのが分かる。あの執事も彼女の前ではどうにもこうにも甘くなる。 危うく執事に嫉妬しそうになる自分の気持ちを押さえるべく、レムオンは深呼吸をする。 なぜこうにもが関わると余裕がなくなるのか・・・。 「ただいま、レムオン兄様。あ、これお土産。綺麗でしょ?」 何時の間に部屋に入ってきていたのか、はレムオンの座っている椅子の前に立っていた。セバスチャンはいない。どうやら気をきかせているつもりなのであろう。 そして、彼女が袋から大事そうに取り出したのは、小さな砂時計。 「・・・ほぅ。七色の砂で作っているのか・・・」 「うん。特別に作ってもらっちゃった。救出したお礼にって♪・・・気に入ってくれた?兄様?」 覗きこむような視線に、思わずレムオンの心臓が跳ね上がる。 「あ、あぁ。お前にしてはなかなかだな。」 「えへへ・・嬉しい♪」 にっこりと眩しいほどの笑顔が自分にむけられたものとわかり、思わず目尻が下がりそうになるレムオン。 必死に堪える姿をみて、そっと扉の向こうから様子をうかがう執事の目に涙がうかんだのだった。 セバスチャンが時間を見計らって、にホットココアを運んでくる。 「セバスチャン、先ほど貰った菓子が残っていたはずだ。」 「かしこまりました。」 わざと残しておいた、という主人の気持ちを知っている執事はにこりと笑うと、すぐに部屋を出て行き、そして菓子を持ってきた。まるで廊下に準備していたかのように(笑)。 「うわぁ♪おいしそう♪・・兄様、これ食べていいの?」 「全部兄に食べさせるつもりか?」 レムオンが甘いのが苦手、ということはも知っている。思わず吹き出して、はぺろりと舌を出す。 「では、レムオン兄様のためにも、私が食べますね♪いただきます♪」 「よろしければ、お土産にお持ち下さい。様のお仲間の方々にどうぞ」 セバスチャンがお土産用に包んだ菓子を手渡す。 「ありがとうございます、兄様、セバスチャンさん。ルルもフェティも喜びます!」 ・・・フェティは・・喜ぶとはいえないかなぁ・・とは心の中で。 一方、土産用に包むとはレムオンがいつもセバスチャンに頼んでいることだったが、自分が言えなかったことにちょっとだけいらいらしていた。 ・・・が、自分の名前を出してお礼を言ったの一言(しかも自分の名前が先に呼ばれたのがポイントらしい)で機嫌が直るあたり、もうやばいのかもしれないが・・・。 ホットココアを飲みながら、そして、美味しい菓子を食べながら、レムオンに冒険話しをする。 聞いているのか聞いていないのか分からないレムオンに楽しそうに話すの姿はある意味かわいそうといえばかわいそうなのだが、エストに言わせれば、「幸せそうなカップル」にしか見えないらしい。 「見てよ、セバスチャン、兄さんのあの嬉しそうな顔。ほら、唇の端がひきつってる。少しはにこりと笑ってもバチはあたらないのに。」 「レムオン様も不器用なお方ですから。様ががんばってくださればなんとかなりますでしょう。」 どうやら扉の向こうから二人の様子をうかがっているらしい。かなり怪しいのだが、この二人はこれはこれで楽しいらしい。 二人の影ながらの応援が届いているのかどうかは知らないが、レムオンとの二人は相変らずのままであった。 「今日はどうするのだ?。泊まる時間はあるのか?」 帰るのか、とは言わない。そういったらは帰ってしまうから。 「あ、はい。あります。」 「では、着替えるといい。セバスチャン。風呂と衣装の準備を女官に用意させてくれ。」 「かしこまりました。さぁ、様、こちらへ。」 久しぶりにがこの家に泊まる。それだけでレムオンの心臓がどきどきと鼓動を早める。 落ち着かない。 なぜだろう。 お前がいるだけで、俺が無防備な人間になってしまう。 身も心も落ちつかない。 それなのに、お前がいるというだけで、どこかほっとする自分もいる。 風呂からあがり、着替えをすませたは冒険者から女性へと変貌する。 最初見たときよりは慣れたつもりなのだが、やはり落ち着かない。 「うぅ、こういう服を着ると、緊張するぅ」 「どうみても緊張してるようには見えん。」 ぷー、と頬を膨らませて抗議の表情をむける。子供っぽい表情がアンバランスでまた・・。 食事も喉を通ったのか通らないのか。味もわからないままいつも終わってしまう。 「やっぱりここの食事は美味しいですね。ごちそうさま」 レムオンの気持ちも知らず、は満足そうににこりと笑う。 「ありがとうございます、様。」 コックが嬉しそうにその笑いに答える。 はここの家の者たちにも人気がある。彼女が帰ってきたときは、レムオンの指図など関係なく、料理は抜群に美味しくなり、女官たちは、我先にとの世話をやく。 そんな館の変貌を見て、レムオンは鬱陶しくも嬉しくもある。 日頃の疲れもあるのだろうか、は食事を終え、レムオンと少し談話すると、部屋に戻り、すぐに眠りへと落ちた。 レムオンも自分の部屋に戻り、執務にはげむ。 ・・・・が、なぜか進まない。 原因はわかっている。 壁を隔てた隣の部屋に、彼女が寝ているからだ。 耳を済ませば、寝息が聞こえるような気がする。鼓動も聞こえるような気がする。 物音をたてれば、すぐに起きてしまうのではないだろうか。 そんな錯覚に陥りながらの仕事だ。手につくわけがない。 いっそ、がいなくなってしまえばいい。 そうすれば、俺はどなることもなく、笑うこともなく・・・ 寂しさに抱かれたまま過ごせる。 ・・・寂しさ・・・・ そんな気持ちが自分の中にあるなんて知らなかった。 彼女が来るまでは。 いつもの平穏な日々に戻れる・・とはまったく思わなかった。 思うことは・・・・ただ・・・寂しくて・・・・つらい気持ちだけ。 はかどらない仕事を机の上に放置したまま、レムオンはベッドへと身をゆだねた。 今日はゆっくりと眠ろう。 せめて、彼女がいるときだけでも・・・・。 出会えてよかった。 そう素直になれるのは、夢の中だけ・・・・ いつの日か、彼女に語る日が来るのだろうか・・・。 朝、目覚めて、彼女に会ったら、何を話そう。どうやって見送ろう・・・ 夢の中だけはいつでも真実を語れるから・・・ 現実でもそうなるように・・・レムオンはそっと瞳を閉じて、そう願った。 「・・・・出会えて・・・・良かった・・・・」 うっすらと呟いたレムオンの表情は、誰にも見せたことのないような幸せそうな微笑が浮かんでいた。 FIN |
| 4000HITしてくれた人が申告なかったので、ニアピン賞としてWAL様に捧げます。 ・・・が、こんなレム兄しか書けない私を許してくださいますか? WAL様が書くレム兄は私の理想なのですよ・・。 がんばって近づけたかったのですが、やはし、おいらには無理ということが判明しました。 と、とりあえず、おしつけて逃げる!!では、さらばじゃ!(爆死) |