書の歴史・日本編14/明治(1)

副島蒼海・題字
胆大心小
副島蒼海(1828-1905)
佐賀藩士。
大隈重信らと尊王攘夷思想の志士として活動、伯爵。
政治家、軍人であるが、書家としても名高い。
漢学の素養が深く漢字、漢詩に長じる。
独創性の強い独自の書風で時流を超越した趣のある書を残している。




中林梧竹・五言絶句
烟霞問迅風月相知
中林梧竹(1827-1913)
肥前鍋島藩の名家に生まれる。
米庵に師事した後、
清国に渡り六朝碑を学び多くの書籍を携えて帰朝した。
銀座に寓居し銀座の書聖と呼ばれた。




巌谷一六・崔子玉座右銘
一竿?影青高出渡頭柳
巌谷一六(1834-1905)
貴族院議員。
楊守敬に師事し日下部鳴鶴と同門であった。
鳴鶴が書学に徹したのに対し、
一六は常に新しい書風を求めた。
磊落な性格で義侠心に篤く貴賎の差別無く人々と交わり、
多くの人々から敬愛された。




巌谷一六
在涅貴不?暖暖内含光




日下部鳴鶴・五言古詩
日入柳風息月上花露多
日下部鳴鶴(1838-1922)
井伊藩士。
大久保利通に信任され要職を勤めた。
利通の遭難後、書によって身を立てた。
清国を遊歴し清の著名な書家と親交を持った。
帰朝後は益々名声が高まり弟子が門前に溢れたと言う。
明治大正の書道界を牛耳り多くの門下を送り出した。




西川春洞・古語
紅杏圃緑柳?無非詩料
西川春洞(1864-1915)
唐津藩士。
日下部鳴鶴と明治書界を二分し、
今日の書道界は殆んどがこの二人の系列である。
徐三庚への傾倒した。




中村不折・五言絶句
碧澗泉水清
中村不折(1866-1943)
南画、水彩画、洋画を学び、
その後渡仏し帰国後洋画界の重鎮として君臨する。
書道博物館を設立し書道の普及に努めた。




犬養木堂・一行書
一家長久懽楽色
百年従無彼我心
犬養木堂(1855-1932)
第29代総理大臣。
5.15事件で凶弾に仆れる。
中国政界人、書人に知人が多く、
張廉卿を習い新機軸を成し書人としても高名である。




比田井天来
黄鶴楼中吹玉笛
比田井天来(1872-1939)
日下部鳴鶴に師事した、後に、
独自の書風で書道界に新風を吹き込んだ。




宮島詠士・犬養公之碑
日也是日公燕居兇徒来襲
宮島詠士(1867-1943)
中国に渡り直接張廉卿に師事した。
書家としてよりも教育者として名高い。
張廉卿に私淑した木堂の碑を書いたのは頷ける。




小野鵞堂・楷書
無論行遠
小野鵞堂(1862-1922)
高野切れ、智永の千字本、王義之の筆法を習得し、ほぼ、独学で書人として名を成した。
無気力な江戸期の仮名から脱却し清楚明快な明治期の書風を創成した。





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引用文献
講談社刊:古筆から現代書道まで墨美の鑑賞
講談社:日本の書
東京書道研究院刊:書の歴史
講談社:日本書跡全集
大修館書店刊:漢字の歴史
平凡社刊:字統
平凡社刊:名筆百選
創元社:書道入門
平凡社:書道全集
講談社:現代書道全集