昆明留学雑記2

今日から授業が始まる。 
彼岸桜が満開の内庭のあちらこちらに学生達が本を片手に予習に余念が無い。 



20くらいの少数民族の若者達が学んでいるのだが、
頭に白い布を巻いてるのが回族の女の子と直ぐ判る以外、
その他は全く区別がつかない。

6階建ての1階にロビー、左側が留学生のゾーン、
入れ口の廊下を挟んだ両側が事務所、右側に大きな会議室、左側に小さな教室が並ぶ。
教室を覗くがどれが自分のクラスか判らない。
一つの部屋を覗くと、目のパッチリした色白の女の子が気さくに話しかけてきた。
このクラスに決定、初級2クラスだ。

若い日本人男性Nと女性A、中国系タイ人男性、
中国系香港人男性、そして私の五人が同級生。
快活なAの中国語は大体私と同程度、日本で2年程中国語を学んだ。 
とっつきやすいN、彼の中国語レベルは高い、以前半年の留学経験が有る。 
タイ人と香港人は2人とも両親は中国人なのに、中国語のレベルは私以下だ。 
漢字が全く読めない書けない。
「だから、中国へ勉強しに来たのです」
と言う。
听力の孟先生40歳位の女性、一生懸命に、
美しい発音で実に丁寧に教えてくれるのだが、
話し半分くらいしか理解できない。
中級クラスなどに入ったらえらい事に成るところだった。

会話の張先生、若くて美人、ひらめきが良い、聡明だ。 後で聞いたら一児の母。
我々のカタコトを直ちに理解する、例文の挙げ方も機知に富んでる。
楽しい授業だ。





報刊選読の先生、まだうら若い真っ黒な瞳の女性、如何にも生真面目、
熱の篭った授業だが、早口で説明難解。 
後で聞いたら物理学が専門とか、その彼女が何故時事の講義?
新聞切り抜きが授業の材料だから、
「香港の一国両制」
「世界の水資源欠乏問題」
「一人っ子政策の功罪」
「老年問題」
「汽車食堂問題」
「中国初のゴールデンウイークの功罪」
「昨今の中国人の観念変化」
「裕福家庭子女問題」
等々中国の今がひしひしと伝わってくる。

二時間の授業の間に10分の休憩時間、
他のクラスの連中も皆ぞろぞろと廊下の一番奥の休憩室に集まってくる。 
煙草がここでしか吸えないのと、お茶の葉とお湯が置いてあるからだ。
皆ここでお茶を入れて教室に持ち込む、これが毎日のお決まりになる。
日本人、タイ人、香港人、韓国人の他、アメリカ、
カナダ、スイス、ニュージーランドと国際色豊かだ。
日本人は20代女性が2名、男性が6,7人、40代男性が2人、60代男性が3人。 
香港人は21歳の男性。 タイ人は10代女性が2人、20代男性が2人、40代女性が2人。 
韓国人は20代の男女。 
白人は皆女性で、20代、30代が一人ずつ、40代が2人、大凡こんな構成だ。

カナダの30台の女性は、
「大学でバイオを教えています」
と自己紹介、中国語が上手だ。 旅の話になる、中国各地は勿論、世界中を歩いている。 
大学の先生は暇が沢山有る様だ。
彼女が西洋料理の食料品店、イタリア料理店の場所を教えてくれた。

午後、その西洋料理材料店でスパゲティ、バター、ケチャップ、
コーヒー、カレー、紅茶、醤油、チーズ等を仕入れる。 
何とか生きてゆけそうだ。

留学生の殆どは学校指定の宿舎には住んでいない、
皆1週間ほど宿舎に居て部屋を探すと出て行く。 
留学期間が1年以上の人が多く、宿舎では自炊が出来ないのと、
外の方が安上がりだからだ。 
私は3ヶ月滞在予定、引越しも面倒くさいし、短期間の借家は交渉が面倒。

興味半分、部屋探しをしている60歳のNさんに付いていってみる。
学校から歩いて15分くらいのアパート、家具無し、
シャワー付き、TV、電話コンセント付きの2LDK、



五階で見晴らし良しは良いが、家具を揃えるのが大変だし、
エレベータ−無しでの毎日の上り下りも大変だ、
部屋代は言い値で月750元。 

Nさんは心配性というのか、
「あの女の子はあの男に騙されそうだ」
「あの女の子はあんなじゃなかった、あいつと付き合い出してから変わってしま
った、授業中もポーッとしている、以前はあんなじゃなかった」
とか、若い同窓生の女の子の事を親父のように心配している。

AとTも部屋を見付けた、1600元でベッドを始め最低限の家具付き、
冷蔵庫、電話、TV、風呂付き、2DKだそうだ。 
二人だから半額で済む。

夕方、AとAと同宿のTとで、前回、前前回と行きつけの日本料理店(昆明記2参照)へ出かける。
如何にも板前風の料理長のSさんは大阪人、AもTも関西人なので関西弁の話が弾む。



沖縄出身の若い店長が蛇味線を持ち出して歓待してくれる。 
彼は蛇味線一本担いで世界中を放浪し此に落ち付いたのだそうだ。

久し振りの日本酒に止め処なく酔っ払った。
AもTもお酒が強い、熱燗に大喜び、負けそうだ、声も大きい、
「日本女性はおしとやかで、慎ましい」
とでも聞いてるのだろうか、時々、周囲の中国人達の驚異の視線を浴びる、
二人とも明朗快活この上なくて気持ち良い。
A「私は結婚したくありません、だけど、子供がほしいなー」
B「私は結婚もしたくないし、子供も欲しくありません。仕事して旅費を稼いで
旅に出る、こんな生活をして一生過ごしたいです」
いずれにしても、彼女達は明日にでも半ば衝動的に、
ケロッと家庭を持つのであろうが、何が幸せかで考え込んでしまう。

一週間だけの留学生が何人かやってきた。
就職も決まり仕事が始まるまでの旅の途中に一寸中国での生活を体験する、
そして、学校を拠点にして午前中授業、午後は昆明を歩き回る、
そんな連中が多い。
(つづく)




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