中秋の湯河原散策

湯河原は坂の多い街だ。
坂道の道筋の木々が色付き出した。





その一つの急な坂を上ってゆくと産土(うぶすな)八幡神社の急な石段がある。



石段を登ると狛犬、何時も見ているのと一寸風情が異なる。
足元の手まりのせいか。



銅鑼の紐の青?水色?が鮮やかだ。




産土八幡神社から更に坂を上がると城願寺。
人っ子一人無い参道、飾り気の無い花が益々静寂を呼ぶ。







城願寺は源頼朝の側近だった土肥実平の菩提寺である。
頼朝が石橋山の戦いに破れ、只の7騎で安房に逃れたが、
その逸話が謡曲「七騎落」で知られる。



その時に頼朝を支えたのが土肥実平だ。
境内の見事な「びゃくしん」は神奈川の名木百選の一つ。



境内からは相模灘が望まれる。








湯河原駅の広場に土肥実平の銅像が威儀を正して立つ。



傍らには、源平盛衰記に「心さかさかしき」武人の妻の鏡と讃えられてた実平の妻が寄り添う。


湯河原は谷間の街だ。
その谷間には幾つもの渓流があり、四季それぞれに四季の流れを醸し出す。



その渓流に沿う古くからの温泉街には由緒ある温泉宿が立ち並ぶ。
万葉集に、
『足柄の土肥の河内に出ずる湯の世にもたよらに子ろが言はなくに』
と詠まれ其の頃からの湯なのだ。
明治初期から多くの文人墨客が住み着いたり長逗留したりしている。
黒田清輝、有島武朗、三遊亭円朝、島崎藤村、国木田独歩、夏目漱石、
芥川龍之介、吉井勇、安井曽太郎、竹内栖鳳、伊東深水等・・・

谷間のほぼ中央に町の美術館がある。



湯河原をこよなく愛した作家達の作品が展示されている。







漱石の書もある。
漱石の最後の未完小説「明暗」は此処で執筆された。



最近では日本画家の重鎮である平松礼二がこの土地に愛着を持ち、
美術館の一部は平松礼二常設館なっている。





平松礼二はモネに傾倒し、独自の視線で蓮を多く描いている。
モネの庭園から送られた蓮の種がこの美術館の庭で花を咲かた。









美術館の近くの支流に沿って「万葉の道」と名付けられた小道がある。
万葉の道を辿ると爽やかな渓流に何本かの滝が落ち込んでいた。



















渓流を上り切ると「独歩の湯」、多くの老若男女が両足を湯に浸している。






福泉寺にある珍しい首大仏、陶器製だ。



元々は名古屋城に有った物で、胴体は行方不明だそうだ。
このお寺には趣の有る地蔵が多い。






相模湾から湯河原の谷間を10kmも登ると大観山(標高1100m)。





箱根芦ノ湖が大観山の眼下に広がる。